2012年 05月 31日
敵は反則・海賊版 |
今年から真面目になったI崎です。今年から真面目になったのですが、今期危ない授業の数はざっと10コマほどあります。繰り返しますが僕は今年から真面目です。書けば書くほどせつなくなるのはどうしたことでしょうか。
さて今回は昨今のライトノベル業界に関して僕なりの所見を述べる予定だったのですが、現在僕は古新戦で自分が犯したミスについて告白し謝罪する必要に迫られているようです。具体的に説明すると、古新戦第二回戦においてありえない反則負けを喫した僕が、その反則のあまりのありえなさに自分でどん引きし、然る後愕然とし、意気消沈しているところに、某後輩某同輩某先輩がそれぞれ鬼の首を取ったような、というより格好の玩具を見つけた邪神のようなニヤニヤ笑いを浮かべながらそのありえない反則を公衆の面前で再現することを僕に強要し、滂沱する僕に追い打ちをかけるように「I崎ウェブ棋跡のネタ決まったじゃんwwwよかったなwww」などと、公衆の面前どころかネットの海に己の恥を己の手で晒し上げることを半笑いで指示し、そのためだけにわざわざ棋譜を取って、さらに僕が遺棄隠滅等の手段に出ないよう棋譜をS田に預けてコピーまで取らせるという、もうこれは誰がどう見てもイジメだろうというような悪鬼羅刹の如き手段を取られてしまったというわけです。彼らには重松清の著作に触れて、イジメが生み出す悲劇の重さを知っていただきたいものです。――しかし、今回の件のたちの悪い所は、かような非人道的なイジメが成されるに足るほどに、僕の反則があまりにもありえなかったという点です。正直に言うと、今僕は手元に棋譜がないので、「いやぁ本当は書きたくて仕方なかったんですけど棋譜がなかったからあの話はできなかったんですよね残念だなぁ」などという華麗な言い訳を放ってしれっと笹本祐一か桜庭一樹の魅力について語ろうという考えは小さくなかったのですが、あの反則に関しては自分の口で早めにばらしておいたほうが自分の名誉のためになるような気がした次第です。もちろん、すでに地に落ちている僕の名誉はこれ以上下に行く余地がないというのもありますし、どっちに転んでも馬鹿にされるビジョンははっきりと見えている、というのもあります。特に僕が片思いしているS山君は僕を見る時の嘲笑するような眼を五割増しくらいで冷たくするでしょうし、僕が何か失敗する度にこれ以上ない喜びだと言わんばかりのいい笑顔をするE河君――の反応はもうすでに見たのですが、とにかく今から憂鬱です。しかし後でばれるよりはよっぽどましだというのも事実です。
というわけで、そろそろ懺悔に入ろうと思います。
とは言っても棋譜を書くのは体力的につらいですし誰も読まないと思うので、大まかなハイライトだけ局面図として挙げようと思います。
第一図は中盤のワンシーン、中飛車対中飛車の格好から僕が2筋の歩を交換しに向かったところです。
(後手が僕なのですが、盤面は反転させています)
ここから▲5五歩と突かれて△同歩▲同銀右△同銀▲同銀と進んだのですが、感想戦や後に周囲の面々に指摘されたことによると、そこで△2六歩▲同歩△同飛▲2七歩△7六飛とすれば、まだしもまともな戦いになっていたそうです。将棋のセンスにいささか難があると言わざるを得ないI崎にはそんな手はまったく見えておらず、指す手が見えず混乱のあまり△2五飛という非常に独創的な手を指し、銀を狙うというかなり斬新かつ奇抜な方針を披露した結果、▲6六銀と引かれて頭を抱えました。その後△5七歩▲同飛に△2四角と上がってみたり、8五に飛車を回ってみたりと肝胆を粉々にしていたのですが全て徒労に終わり、それどころか状況を悪化させる一方で、今思い返せば一手パスの方がまだ良かったような気のする手がちらほら見えます。
かような次第で悪手に悪手を重ねるプレイングで中盤は進み、第二図に至りました。
僕が歩を持っていないのを見て、相手が△5四歩と垂らした場面です。敵陣に作った馬も殺され、事ここに及んではもう何もすることがありません。僕は良く言えば自彊息まず死して後巳む精神で、ストレートに言えば悪あがきで△4五歩と突きました。しかしここで相手の様子がおかしくなります。勝者の余裕か勝負を急いたか、銀取りを放置して▲5三歩成。そこから△4六歩▲6二と△同金▲5七桂成△同金▲6二金△7一銀▲5三飛成△6二銀▲同竜△7一金と進んで▲3二竜と一旦撤退し、攻めが止まってしまいました。どうやら▲6二金~5三飛成りあたりが不自然だったようです。
▲3二竜に対し△4七歩成として第三図です。
将棋は序中盤の上手い方が勝つゲームではない。終盤でミスをしなかった方が勝つゲームだ。そう言っていたのは、小学校四年の僕に将棋のルールを教えてくれた友人でした。そして今まさに、僕は勝利を手にするチャンスを授かったのです。△4七歩成▲同金から、相手のミスも手伝って、駒得しつつ相手の陣をばらばらにすることに成功しました。結果、下の第四図に至ります。
△2六歩▲3七王から△5五角という第四図。ここで相手が▲4六金としたのが、二つに意味において勝負を決定づけた瞬間でした。僕には△2六歩には▲同王が、△5五角には4六に合駒を打たれた方が嫌だったのですが、相手がことごとく僕の希望通りの手を指してくれたおかげで、▲4六金に対して△2八角と打ち、僕はついに優勢を確定させたのです(少なくとも心の中だけでは)。当然▲同王とは取れないので、相手はやむを得ず▲2六王と逃げます。
そして当然、僕は△4六角成とします。
相手は▲同飛とします。
そして、ここへ来てようやく、僕は己の勝利がもはや揺るぎなく、確固たるものであることを確信しました。
そしてこれ以上ないほどのどや顔で、
その日一番の力強い手つきで、
駒音高く意気高く、
△4六角成としました。
そしてどや顔のままチェスクロックのボタンを押しました。
隣で見ていたギャラリーの方がおずおずとこう言いました。
「・・・・・・あの、反則です」
将棋は序中盤の上手い方が勝つゲームではない。終盤でミスをしなかった方が勝つゲームだ。そう言っていたのは、小学校四年の僕に将棋のルールを教えてくれた友人でした。
その彼も、まさか反則という名のミスは想定していなかったことでしょう。
そんなわけで、その日僕はE河にさんざんいじめられ、A井にはニヤニヤされ、O高さんからはゴミのような扱いを受けたというわけでした。相手の方にも失礼なことをしたと思います。この場でお詫び申し上げます。
ちょっと時間に追われているので今日はそろそろ筆を置こうと思います。今回も更新がひときわ大きく遅れてしまい、申し訳ないです。
それでは、お目汚し失礼しました。
追記 次はF田さんに回します。
さて今回は昨今のライトノベル業界に関して僕なりの所見を述べる予定だったのですが、現在僕は古新戦で自分が犯したミスについて告白し謝罪する必要に迫られているようです。具体的に説明すると、古新戦第二回戦においてありえない反則負けを喫した僕が、その反則のあまりのありえなさに自分でどん引きし、然る後愕然とし、意気消沈しているところに、某後輩某同輩某先輩がそれぞれ鬼の首を取ったような、というより格好の玩具を見つけた邪神のようなニヤニヤ笑いを浮かべながらそのありえない反則を公衆の面前で再現することを僕に強要し、滂沱する僕に追い打ちをかけるように「I崎ウェブ棋跡のネタ決まったじゃんwwwよかったなwww」などと、公衆の面前どころかネットの海に己の恥を己の手で晒し上げることを半笑いで指示し、そのためだけにわざわざ棋譜を取って、さらに僕が遺棄隠滅等の手段に出ないよう棋譜をS田に預けてコピーまで取らせるという、もうこれは誰がどう見てもイジメだろうというような悪鬼羅刹の如き手段を取られてしまったというわけです。彼らには重松清の著作に触れて、イジメが生み出す悲劇の重さを知っていただきたいものです。――しかし、今回の件のたちの悪い所は、かような非人道的なイジメが成されるに足るほどに、僕の反則があまりにもありえなかったという点です。正直に言うと、今僕は手元に棋譜がないので、「いやぁ本当は書きたくて仕方なかったんですけど棋譜がなかったからあの話はできなかったんですよね残念だなぁ」などという華麗な言い訳を放ってしれっと笹本祐一か桜庭一樹の魅力について語ろうという考えは小さくなかったのですが、あの反則に関しては自分の口で早めにばらしておいたほうが自分の名誉のためになるような気がした次第です。もちろん、すでに地に落ちている僕の名誉はこれ以上下に行く余地がないというのもありますし、どっちに転んでも馬鹿にされるビジョンははっきりと見えている、というのもあります。特に僕が片思いしているS山君は僕を見る時の嘲笑するような眼を五割増しくらいで冷たくするでしょうし、僕が何か失敗する度にこれ以上ない喜びだと言わんばかりのいい笑顔をするE河君――の反応はもうすでに見たのですが、とにかく今から憂鬱です。しかし後でばれるよりはよっぽどましだというのも事実です。
というわけで、そろそろ懺悔に入ろうと思います。
とは言っても棋譜を書くのは体力的につらいですし誰も読まないと思うので、大まかなハイライトだけ局面図として挙げようと思います。
第一図は中盤のワンシーン、中飛車対中飛車の格好から僕が2筋の歩を交換しに向かったところです。
(後手が僕なのですが、盤面は反転させています)
ここから▲5五歩と突かれて△同歩▲同銀右△同銀▲同銀と進んだのですが、感想戦や後に周囲の面々に指摘されたことによると、そこで△2六歩▲同歩△同飛▲2七歩△7六飛とすれば、まだしもまともな戦いになっていたそうです。将棋のセンスにいささか難があると言わざるを得ないI崎にはそんな手はまったく見えておらず、指す手が見えず混乱のあまり△2五飛という非常に独創的な手を指し、銀を狙うというかなり斬新かつ奇抜な方針を披露した結果、▲6六銀と引かれて頭を抱えました。その後△5七歩▲同飛に△2四角と上がってみたり、8五に飛車を回ってみたりと肝胆を粉々にしていたのですが全て徒労に終わり、それどころか状況を悪化させる一方で、今思い返せば一手パスの方がまだ良かったような気のする手がちらほら見えます。
かような次第で悪手に悪手を重ねるプレイングで中盤は進み、第二図に至りました。
僕が歩を持っていないのを見て、相手が△5四歩と垂らした場面です。敵陣に作った馬も殺され、事ここに及んではもう何もすることがありません。僕は良く言えば自彊息まず死して後巳む精神で、ストレートに言えば悪あがきで△4五歩と突きました。しかしここで相手の様子がおかしくなります。勝者の余裕か勝負を急いたか、銀取りを放置して▲5三歩成。そこから△4六歩▲6二と△同金▲5七桂成△同金▲6二金△7一銀▲5三飛成△6二銀▲同竜△7一金と進んで▲3二竜と一旦撤退し、攻めが止まってしまいました。どうやら▲6二金~5三飛成りあたりが不自然だったようです。
▲3二竜に対し△4七歩成として第三図です。
将棋は序中盤の上手い方が勝つゲームではない。終盤でミスをしなかった方が勝つゲームだ。そう言っていたのは、小学校四年の僕に将棋のルールを教えてくれた友人でした。そして今まさに、僕は勝利を手にするチャンスを授かったのです。△4七歩成▲同金から、相手のミスも手伝って、駒得しつつ相手の陣をばらばらにすることに成功しました。結果、下の第四図に至ります。
△2六歩▲3七王から△5五角という第四図。ここで相手が▲4六金としたのが、二つに意味において勝負を決定づけた瞬間でした。僕には△2六歩には▲同王が、△5五角には4六に合駒を打たれた方が嫌だったのですが、相手がことごとく僕の希望通りの手を指してくれたおかげで、▲4六金に対して△2八角と打ち、僕はついに優勢を確定させたのです(少なくとも心の中だけでは)。当然▲同王とは取れないので、相手はやむを得ず▲2六王と逃げます。
そして当然、僕は△4六角成とします。
相手は▲同飛とします。
そして、ここへ来てようやく、僕は己の勝利がもはや揺るぎなく、確固たるものであることを確信しました。
そしてこれ以上ないほどのどや顔で、
その日一番の力強い手つきで、
駒音高く意気高く、
△4六角成としました。
そしてどや顔のままチェスクロックのボタンを押しました。
隣で見ていたギャラリーの方がおずおずとこう言いました。
「・・・・・・あの、反則です」
将棋は序中盤の上手い方が勝つゲームではない。終盤でミスをしなかった方が勝つゲームだ。そう言っていたのは、小学校四年の僕に将棋のルールを教えてくれた友人でした。
その彼も、まさか反則という名のミスは想定していなかったことでしょう。
そんなわけで、その日僕はE河にさんざんいじめられ、A井にはニヤニヤされ、O高さんからはゴミのような扱いを受けたというわけでした。相手の方にも失礼なことをしたと思います。この場でお詫び申し上げます。
ちょっと時間に追われているので今日はそろそろ筆を置こうと思います。今回も更新がひときわ大きく遅れてしまい、申し訳ないです。
それでは、お目汚し失礼しました。
追記 次はF田さんに回します。
by chiba_univ_shogi
| 2012-05-31 19:21